春30回目

 

 

春は例年こころが乱れる季節だけど、なんとか逃げ切ったかなと思う。春を感じるもの、たとえば満開の桜とか、やわらかい光とか、ひんやりして湿気たにおいの風とか、そわそわしてる人たちと乗り合わせる電車とか、そういうものを普通に春だな、いいな、と受け止められる瞬間も少しずつ増えていた。

 

それは、ざわざわする心がすっきり消えてくれたわけではなく。ただ経験則からこれがずっと続く気持ちではないことも理解できている。

 

仕事の帰りに自転車に乗っている時や洗い物の最中などふとしたときに影が差してきて、しまった!と思うけどそのたびにとりあえずなんかしたり人と話をして、さらに日々の忙しさでまいていたらもう半袖を着ている。つばめを見かけて「お、」と思う。