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完食

ふつうに日記みたいなもんです

おもひでぽろぽろ

2011年 夏

 

 高校に入学して初めてできた友達に彼氏が出来た。いきなり「付き合うことになったの」と言われた時は何も聞かされていなかったことに少しさみしさを覚えたりもしたけれど幸せそうな二人を見て嬉しくもあった。

 

そしてあれは大親友の彼氏のツレだった。

 

美味しいパスタもなければ優しい笑顔もなく、一目惚れでもないけれど仲良くなって、勢い余って付き合った。

 

そして即別れた。

 

とにかく私の容姿は今よりもかなり丸く、なかなかパンチが効いていた。そして内面はこじらせていてもっとパンチが効いていた。スクールカースト下位層。たぶん頑張ったけど好きになれなかったんだと思う。

自分でも大して好かれていないのはわかっていたし別れを切り出された時も「ああ、ついに来たか」くらいのものだった。しかしちゃんと好きだった。だから翌日学校に行って友達の顔を見たら涙が止まらなかった。友達は私をしっかり抱きしめてくれ、そして傷心の時にありがちではあるがラーメンを食べに行こう、と言った。

 

 

 

 

「おいしいね」

「ね」

 

塩ラーメンを言葉少なめに啜る。おいしいものは人を黙らせる。店内に有線放送が流れているため沈黙は気にならなかったのだが。

 

いつもいっしょに いたかった 

 

となりで わらってたかった

 

すごいタイミングである。

プリンセス・プリンセスのMが流れてしまった。

 

無言で、ラーメンを啜る。気まずい。お互いに言葉が見つからない。いかに気を遣わせない発言をするか、考えれば考えるほどにわからなくなっていく。結局Mが終わるまで私たちはただ、ラーメンに集中するふりをした。正直、Mが流れている間はもう味がわからなかった。

 

16の夏はあっけなく過ぎた。その後何故かよりを戻す運びになり、そしてまた即別れた。

私の恋は思い合っている喜びみたいなものもなにもなく、ほんとに形だけみたいなもので、プリンセス・プリンセスのMに感情移入できるほど内容も無かった。

だから本当は友達も私も黙らなくてよかった。今思えば「まって、これ感情移入できるほど一緒におらんかったよつらい…」でげんきだしてひでちゃん!でよかったと思う。それか店長、ヘビメタチャンネルに変えてくださいでよかったと思う。

 

あれからもう5年経った。

ロンドンオリンピックもリオオリンピックも過去の話だ。いまでも思い出すといろんな感情が入り混じって惨めな気分になる。この一件があったからなのか、ひでちゃん彼氏出来ても絶対浮気されるとか言われるようになった。あの時もう躓かないと思ったがわりとよくつまずいたし転んだ。強く生きよう。卒論が辛いから休憩でした。

 

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